明和小中一貫校化の歴史と現状
明和小・中学校の一貫校化の話が、合意形成がない中で一方的に進められようとしています。 このページでは、その経緯と現状について詳しく解説し、どのような背景があるのか、何が問題なのか、そして地域の反応はどうなのか、そして今後の展開についてもお伝えします。 また、小中一貫校化の目的や課題についても触れ、どのような影響があるのかを整理していきます。
小中一貫校化の前史
政策の出発点と全国の動き
2014年:「地方創生政策」の開始
- 総務省が全国の自治体に「公共施設等総合管理計画」の立案を求める。
- 公共施設の総量(延べ床面積)削減を自治体の数値目標として設定。
- 公立学校施設は全国の公共施設の約4割を占め、鹿児島県では約5割に達する。
- そのため、学校施設の統廃合や転用が全国的に進められる。
2015年:文部科学省の手引き発表と制度改正
- 「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置に関する手引き」発表
- 学校の統廃合や小中一貫校の推進を推奨。
- 義務教育学校の設置が可能に(学校教育法改正)
- 小中一貫教育の法的な位置づけが確立される。
- 国庫負担制度の変更
- 通常の学校建て替えでは国の補助は3分の1だったが、一貫校の場合は2分の1が国庫負担となる。
鹿児島県内での動き
- 2016年:鹿児島市が「公共施設等総合管理計画」を策定し、統廃合と小中一貫校政策を推進。
- 2017年:南さつま市で「坊津学園」開校。
- 2018年:鹿児島市教育委員会が「学校規模の適正化・適正配置に関する基本方針」を策定。
鹿児島市内での動き
2015年:明和まちづくり協議会設立
「明るく和やかで誰もが住みたいふるさと」をスローガンに発足
計27団体24名
2015年12月:鹿児島市議会での議論開始
- 伊地知紘徳議員の質問:「・・・児童数が減少しても学校の広さも設備も何ら変わりません。明和校区における小中学校は、学校としての位置づけは小中ともに変わらないと考えて良いものか。今後小中一貫校など特徴ある学校づくりなど、新たな対応を検討される可能性も含まれるのか。今後の校区の学校のあるべき姿、展開について見解を賜りたいと存じます。」
- 市(教育長)の見解:「今後も地域と連携・協働し・・・小中一貫校を含む学校のあり方については教育環境の改善を前提に、慎重に検討する必要がある」
- 伊地知議員:「お答えの研究は急がねばならない課題であることを申し添えておきます。研究熱心な先生方でいらっしゃいますが、くれぐれも長い時間をかけて研究される事の無いようお願いしたいと思います。なぜならば、もしこのことが実現しますと、学校施設が一つになることによって、そこに(どちらかの空き地に)新たな市の大きな土地資産が生まれ、市独自でまちづくりを進めることが可能となる可能性を秘めているからなのでございます。ですから連動するこの時期を外せないわけなんです。」
2018年:「学校規模の適正化・適正配置に関する基本方針」策定
2018年7月「学校規模の適正化・適正配置に関する住民説明会」(明和中)
参加者29名
質問「早急に適正化(小中一貫校~義務教育学校)を行う必要があるのではないか」
回答「子どもたちにとって より良い教育環境を充実させていくため、保護者や地域の方々の理解と協力を得ながら検討していきたい」
- 明和小・中学校の統廃合について、住民説明会の実施。
- 地域との合意形成を重視する方針。
2023年3月30日:まちづくり協議会が市教委へ「小中学校を一貫校設置への要望書」を提出
2024年:「創る会」で2回のアンケートの実施と結果の還流
8月と11月に実施し、354件の回答があった。
多くの方が反対意見を持っていることや情報が届いていないことなどの実態が明らかになった。
2024年7月6日:明和地区PTA懇談会
井上(明和小前校長)の講演(東京八王子の義務教育学校について等)
2024年6月・12月:鹿児島市議会
鵜狩友江議員:「まちづくり協議会の要望書は民主的議決か?住民の総意か?その有り様を確かめたのか?」
教育長答弁:「協議会の議決の在り方については、私たちの関与するところではない」
小中一貫校化の背景
一貫校化はなぜ進められているのか
北海道や関東地区を中心に、小学校と中学校を一貫した教育体制にする(小中学校を統合して一つの学校にする)義務教育学校化が進んでいます。その背景には、学びの連続性や学力の向上、「中一ギャップ」の解消などの教育面のメリットが強調されていますが、事実の証明はありません。(「中一ギャップ」については国立教育研究所が事実無根のこの用語を使うべきではない旨を表明しています)
それほどのメリットがあるならば、現存の全ての小中学校が義務教育学校を目指す筈ですが、そのような動きはありません。中高一貫の私立学校はありますが、小中一貫・義務教育学校の私立学校は2020年の軽井沢風越学園一校のみで、その後まったく増えていません。
学校行事等において、今までならリーダーシップをとってきた小学校上級生(5・6年生)の影が義務教育学校では薄くなるというのも全国的に指摘されている傾向です。9年間続く閉鎖的な人間関係に苦しむ子どもたちがいることも明らかになっています。
では、なぜ小中一貫~義務教育学校化が進められるのか
それは、少子化に伴う学校の統廃合で教職員の数を減らすことで生まれるコスト削減こそ最大の目的だと考えられます。管理職、司書、養護教諭をはじめ一般教諭の数も減らせるからです。
この背景を考えてみると、2014年、地方創生政策の一環として国(総務省)は公共施設の効率化(集約・複合・転用・除去)を全国自治体に指示します。学校施設は各自治体の3分の1(鹿児島などは2分の1)を占めるのですが、その改修・維持費の大幅削減が目指されたのです。翌年、文科省により公立小中学校適正配置・適正規模が打ち出され、以来、全国的に小中一貫∼義務教育学校化が進められるようになってきました。
国の政策と小中一貫教育の関連性
2014年、地方創生政策の一環として、文部科学省と総務省が公共施設の効率化を推進しました。特に、公立小中学校の適正配置や適正規模の確保が求められ、これにより北海道や関東地区を中心に小中一貫校化が進められています。
また、2015年の「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置に関する手引き」では、小中一貫教育が推奨され、これを受けて各自治体が一貫校化の方針を決定してきました。
明和での反応
住民の意見と議論の状況
学校は、地域にとって大切な施設です。「明和小・中学校は私の母校です!」という方々も多く明和地区で生活されています。そんな、みなさんにとっては「一貫校化」のニュースは寝耳に水でした。というのも、大切な母校のことに関して何も知らされないままの「一貫校化」の要望書が提出されたからです。
私たち「希望に満ちた明和を創る会」が実施した、PTAや地域住民を対象にしたアンケートの結果を見ると、多くの住民が十分な説明を受けていないことや、自分の意見表明の場がなかったという回答を寄せています。その結果、賛否の判断をすることもできないというのが地域住民の本音というところです。
希望に満ちた明和を創る会の発足
「希望に満ちた明和を創る会(以下:「創る会」と記す)は、「住民の声を大切にして、人々が集い住まう安心・安全で活気ある明和づくり」のために2022年12月に発足しました。明和の将来の活気を左右する教育環境について、「将来の明和小学校・中学校の在り方について」と題したアンケートでは、「小学校・中学校をそのまま残し、少人数学級で教育を充実させたい」という回答が他を圧倒しました。しかし、2023年3月30日にその声とは真逆の「小中一貫校化」が動き始めました。
私たちは、教育の当事者である子どもや保護者、教職員、そして地域住民への十分な説明もなく進められようとする、「明和小・中学校の一貫校化を白紙に戻し、子どもや保護者、教職員、地域住民への十分な説明と住民の意思を反映したものにしてほしい」という思いで、「希望に満ちた明和を創る会」を発足し当所の目的の達成に向けて現在の取組みを進めています。
これから必要なことは
文部科学省も鹿児島市教育委員会の「学校規模適正化検討委員会」も、一貫校化には「地域住民の理解と合意形成」が不可欠としています。しかし、私たちが集約した住民アンケートの結果をみると7割近い方が反対または慎重にという声を寄せています。明和地区の一貫校化は、文科省や市教委が不可欠とした「地域住民の理解と合意形成」がなされないまま進められようとしています。
これから必要なことは、まちづくり協議会や市教委が明和地域の小中一貫校化を白紙に戻して、「地域住民の理解と合意形成」のための説明会などの対話の場をつくり、住民の思いや願いをしっかりと聞くことが大切です。
県内にもいくつかの「義務教育学校」がありますが、勤務する教職員の声からは、施設の効率化が期待される一方で、それぞれの発達段階で獲得するべき力を身につけられないこと、9年間変わらない人間関係、授業時間の違いや階段の高さなどのハード面の違いなどの課題があることが分かりました。一貫校化が、子どもたちの育ちや教職員の働き方にどのような影響をもたらすのかなどをつまびらかにし、当事者である子どもや保護者、教職員との慎重な議論が必要です。
小中一貫校と義務教育学校の違いは
これまで明和小中学校一貫校化について整理してきました。その中で、「一貫校」と「義務教育学校」という言葉が出てきましたが、その学校の形態には違いがあるのです。ここでは、その違いについて整理してみたいと思います。(2023年7月1日の明和中学校での市教委の説明資料より)

- 小中連携教育=小・中学校段階の教員が互いに情報交換や交流を行うことを通じて、小学校教育から中学校への円滑な接続をめざす様々な教育
- 小中一貫教育=小中連携教育のうち、小・中学校段階の教員がめざす子ども像を共有し、9年間を通じた教育課程を編成し、系統的な教育をめざす教育
- 義務教育学校=小学校と中学校を統合して新しい一つの学校にするので、1人の校長と1つの教職員組織になる。
- 小中一貫型小学校・中学校=独立した小学校及び中学校が一貫した教育を施す形態なので、それぞれの学校に校長がいて教職員組織がある。
現在、まちづくり協議会が進めようとしてしるのは、「義務教育学校化」です。これからは、「義務教育学校」という表記で統一します。
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